
ポルトガルと聞いて、どんなイメージが思い浮かびますか?エッグタルト、サッカー、美しい街並み──そんな風景を思い浮かべる方も多いかもしれません。
でも実は、ポルトガルはワイン産地としても非常に魅力的な国なのです。日本の約4分の1という小さな国土でありながら多彩な気候や土壌に恵まれ、地域ごとに異なる個性豊かなワインが数多く生み出されています。
今回は、そんな「ポルトガルワイン」について詳しく解説し、おすすめのワインをご紹介いたします!ぜひ最後までご覧ください。
目次
ポルトガルの基本情報

ポルトガルは、ヨーロッパ最西端に位置し、スペインと国境を接する国で、日本の約4分の1ほどの小さな国です。
主要産業はオリーブや小麦、ワイン、コルクなどに代表される農業で、特にコルクはポルトガルの主要な輸出製品のひとつです。また、水産業も盛んで国民1人当たりの魚介消費量が日本に次ぐ世界6位。さらに、国民1人当たりの米の消費量はヨーロッパ最多であり、日本とよく似た食文化を持つ国であると言えます。
2024年の国民1人当たりのワインの消費量は61.1L(750mlボトルに換算すると81.4本!)で、世界最多を誇ります(日本は2.8Lで18位)。※
※出典:WINE REPORT「世界のワイン消費量は過去60年間で最低、日本の1人当たり消費量は3.7本」(https://www.winereport.jp/archive/5148/)
ポルトガルワインの歴史

ポルトガルワインの歴史は、紀元前600~500年頃フェニキア人によって始まりました。その後、8世紀~11世紀までイスラムに支配されたことによりワイン造りは停滞しますが、12世紀初頭に北部がキリスト教の支配に戻ると、葡萄栽培が復活し活気を取り戻し始めました。このころからすでに、ポルトガルワインはイギリスに輸出されていました。
17世紀にはイギリスとフランスの間で戦争が起きたことにより、ポルトガルワインのイギリスへの輸出はさらに加速します。1703年には、イギリスとの通商条約であるメシュエン条約が締結し、ポルトガルワインへの関税が引き下げられたことで、さらに輸出が拡大しました。
1932年には、アントニオ・サラザールによる独裁体制により鎖国に近い状態となり、ワインは国内での消費用となります。さらにその後の独立戦争により、ポルトガルのワイン業界は他国に比べて発展が遅れることとなりました。しかしながら、他の国々から孤立していたこの時期に、多くの固有品種が発達していったという側面もあります。
1974年にはサラザール体制が終焉し、独立戦争も終わりを迎えました。1986年にはEU加盟を果たし、ポルトガルの復興政策の一環としてワイン産業が莫大な投資を受け、品質は急速に向上していきました。2000年代に入ると、若い世代の造り手や海外のワイナリーとのジョイントベンチャーによって、世界的なコンペティションで高く評価されるワインが多数生み出されるようになりました。
ポルトガルワインの葡萄品種

ポルトガルには250種を超える固有品種が存在し、1ha当たりの固有品種数では世界最多を誇ります。
<白葡萄>
○フェルナン・ピレス
ポルトガルで最も多く栽培されている白葡萄品種。マリガ・ゴメスの呼称でも知られているこの品種は、西海岸を中心に全国的に幅広く栽培されています。柑橘系の味わいとマスカットを思わせるフローラルなアロマが特徴で、フレッシュな白ワインやスパークリングワイン、甘口ワインなど幅広いスタイルのワインに使用されます。
○アルバリーニョ
桃や柑橘類、トロピカルフルーツのアロマを持ち、リッチでミネラル感あふれるワインを生み出す品種。ポルトガルでは珍しく、単一品種で造られることが多いのも特徴です。主にヴィーニョ・ヴェルデ北部で栽培されていますが、近年は国内外で評価が高まり、栽培地域も拡大しつつあります。
<黒葡萄>
●トゥーリガ・ナショナル
ポルトガルを代表する黒葡萄品種で、全国的に栽培されています。濃い色調と凝縮した果実味、豊富なタンニンを持つワインが生まれますが、近年はよりエレガントなスタイルのワインも増えてきています。
●バガ
単一で使用されることが多い品種で、主にバイラーダ地方やベイラス地方などで栽培されています。若いうちは濃密で収斂性(タンニンによって口の中がざらつくような、引き締まるような感覚)の強いワインが多いですが、熟成を経ることで、柔らかく上品な味わいへと変貌を遂げます。
ポルトガルの気候風土と主要産地

ポルトガルは南北に560km、東西に160kmと小さな国でありながら、北部の丘陵地帯と南部の平野部では平均気温や年間降水量に大きな差があります。また、土壌についても北部と中部は花崗岩、片岩、粘板岩を主体とし、南部と海岸沿いの産地では主に石灰質、粘土、砂が主体となります。この多彩な気候風土が、バラエティに富んだポルトガルワインを生み出す理由のひとつです。
ここからは、ポルトガルワインの主要な産地をいくつかご紹介していきます。
-ヴィーニョ・ヴェルデ
ヴィーニョ・ヴェルデとは、ポルトガル語で「緑のワイン」と言う意味です。とはいえ、ワインの色が緑色というわけではなく、「緑」は『若々しさ』を表しています。まだ若いうちに収穫した葡萄を使用した、フレッシュな味わいのワインが生み出されています。また、微発泡まではいかないものの、ピチピチとした軽快な口当たりや比較的低めのアルコール度数もヴィーニョ・ヴェルデの特徴です。爽やかなタイプのワインが多いですが、近年アルコール度数の高いしっかりとしたワインも造られるようになっています。
-ポルト と ドウロ
ドウロ川流域に広がる産地。ポルトは古くから酒精強化ワインの「ポートワイン」の産地として長い歴史を持ちます。一方で、ポルトと同じエリアにあるドウロは、2003年に結成されたドウロボーイズと呼ばれる5人組を始めとする若い生産者たちの活動によって、スティルの赤ワインの産地として世界的に注目を集めています。
※酒精強化ワイン(フォーティファイド・ワイン)とは?
発酵中にアルコール分40~80%程度のブランデーまたはアルコールを添加して発酵を途中で止め、ワイン全体のアルコール分を15~22%程度にしたもの。味わいに厚みが出て、ワイン自体の保存性も高まります。スペインのシェリー、ポルトガルのポート、マデイラが「世界三大酒精強化ワイン」と言われています。
-ダン
冬は寒く、夏は相対的に晴れて乾燥する大陸性気候の産地ですが、気温が下がり始めるのが夏の終わりと早いため、果実はゆっくりと熟し、複雑なアロマを蓄えることができます。主要品種はトゥーリガ・ナショナル。かつては古い木樽で過度に熟成されていたため、エレガントさやフルーティーさが損なわれていましたが、近年は醸造方法を見直し、本来のワインのクオリティが引き出され、酸味やアルコール、アロマなどのバランスが取れた赤ワインを生み出しています。
-バイラーダ
ダンに接した海洋性気候の産地で、粘土質の土壌が特徴です。主要品種はタンニンが強くしっかりとしたワインを生み出すバガで、果実のフレーバーやパワフルなタンニンから、イタリアワインの王様“バローロ”に使われる「ネッビオーロ」に例えられます。また、瓶内二次発酵のスパークリングワインも多く造られており、国内生産の65%を占めています。
おすすめのポルトガルワイン
TRES MARIAS NV ※1000ml
トレス・マリアス

【品種】アリント ロウレイロ トラジャドゥーラ 各1/3
【醸造】完熟した葡萄を除梗しソフトプレス。14-16℃の低温でステンレスタンクにて15-20日間発酵。
【テイスティングコメント】淡く緑がかったイエロー。レモンやライムなどの柑橘系や、フレッシュな林檎の香り。フレッシュな酸と果実味、花崗岩由来の柔らかいミネラルのバランスが良く、クリスタルのような透明感のある味わいです。
アルコール度数も9.5%と低めで飲みやすく、ワイン初心者さんにこそぜひお試しいただきたい1本です。
和食や魚介類との相性も良いので、ぜひお試しください。
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